『数の悪魔』エンツェンスベルガー(晶文社)
無実の罪で砂漠の真ん中にある少年たちの矯正キャンプ「グリーン・レイク・キャンプ」に放り込まれたスタンリー。
そこでは緑も湖もない焼ける大地に一日1つでっかい穴を掘らされる。直径1.5m、高さも1.5mのでっかい穴を。
穴を掘るのは表向きは「人格形成のため」とはいうが、本当はそうではないらしい。
「グリーン・レイク・キャンプ」が自然に囲まれていた時代の秘密。
スタンリーのひいひいじさんがこの湖で暮らしていた時代の秘密。
施設の所長はこの秘密を知っている。だから子どもたちに穴を掘らせる。
ある日、スタンリーは施設から決死の脱出を試みる。
友情とプライドをかけ、どこともしれない、家族代々語り継がれる「約束の地」を目指して。
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この作品は端々に多様な伏線が巧く配置されています。
その1つ1つが読みごたえのある物語として独立し、全てにストーリーの核となる部分が隠されています。
それらが結末に向けて集約されていく流れは神業です。
読み終わった後、すぐにもう一度初めから読み返したくなります。
冒険小説でもあり、ファンタジーでもあり、ミステリーでもある。
色々な視点で読める作品なので、読書が苦手な子へ贈る1冊におすすめです。
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